「ビジョンを相手に伝える」ときに一番大事なこと【久瑠あさ美メンタルトレーニング】第10回 #2講評
久瑠あさ美の「コロナ禍以後をいかに生きるか」Vol.10
■トレーニングは何を変えるか
(ホワイトボードで図解しながらのレクチャータイム1)
久瑠:今回提出してもらったワークからは、鈴木さんの「強く在りたい」という信念が見えてきます。そこからさらに深く入っていきたいことは、「それじゃぁ鈴木さんは、なぜそんなに強く在りたいんですか」ということなんです。
鈴木:私は、根本的にはすべてが偶然の連続で、信じるに足るべきものは、実は本当に少ないんだと感じています。その少ない中でも、信じられるものを見つけながら生きている、という感覚があるんです。
できれば、「裏切られた」とか「がっかりした」みたいな感情を持たず、平然と受けとめる。あるがままを肯定する。そのような状態になれるといいな、と常に思っています。振り回されない人間になりたいんですね。
そういう強さに憧れてるんでしょうね、きっと‥‥
久瑠:鈴木さん自身、その感覚を自分でも掴めてる感覚はありますか?
鈴木:不思議なことにですね、自分の心身のバイオリズムみたいなのがあるんですね。「掴めてるな」と思える気持ちのいい時と、「全然掴めてない、ダメじゃんやっぱり」「なに、こんな小さなことでくよくよして。本当にしょうもないな」とやさぐれてしまう時と、行ったり来たりするんです。
その中でも、こうやって開き直って、久瑠先生に明るく語れることが自分にとってのバランスにもなっているし、救いでもあります。
久瑠:(ホワイトボードの図解に描きながら)今のお話しを聞いていて、この「現実ライン」についてお伝えしたいな、と思いました。
通常、どんな人でも、「自分の慣れ親しんだ自分」に関する自己イメージというものを持っています。
いま鈴木さんにお話しいただいたことは、鈴木さんの調子のアップダウンの話だったわけですね。自己イメージより高い状態、低い状態を、私たちは常に行ったり来たりしているんです。
先ほど鈴木さんは「人生は偶然の連続である」と仰いましたが、その「偶然性を大事にしていく」感性は、じつは潜在意識では、常に自分の自己イメージよりも高い状態を求めているんです。
私が「マインドの法則」として伝えている大事な概念に「ホメオスタシス(恒常性)」があります。これは日々同じことのくり返し、今あるものをキープしようとする傾向のことです。生理現象として人間の体温が36度付近にキープされるのと同じように、マインドも同じところで安定させようとするんです。この「ホメオスタシス」が強く働いていると、つまり「現状維持」の傾向が強いわけですから、人は保守的な在り方、もしくは保身的な在り方になります。
それに対して鈴木さんは、自分の人生に対してチャレンジしていくエネルギー、今を超えて行こうとするエネルギーが凄く強いんですね。
このように、トレーニングを通じて「自分の在り方」を知ることがまず重要です。自分の在り方を知ることで、何が得られるのか。
例えば鈴木さんの場合、「傷つかないで生きる在り方」のほうがいいですよ、といくら言ったところで、絶対にイヤだと思うはずなんです。「憧れの在り方」こそが自分の生き方なんですから。
それではトレーニングをすることになんの意味があるかというと、潜在意識をトレーニングすることで、キャパシティが広がり、自分を俯瞰する視点を創ることができます。そうすると現実と理想が合ってくるんです。
《まとめ①》
◉トレーニングで、慣れ親しんだ自分からさらに外へと広がるキャパシティを養う